
薬膳は「魔女のスープ」ではありません!
薬膳というと、
【魔女のスープ】
のようなものをイメージする方がいらっしゃいますが、
そんなものを作る必要はありません。
薬膳とは、旬の食材を使って、体調に合わせて作る「美味しい料理」のことです。
病気になる前に、年間通じて調整する
また、一年を通じてじゅんぐりと身体を微調整するのが薬膳的な調整です。
春→肝
夏→心
秋→肺
冬→腎
と…
そして、
季節の変わり目(土用)→脾
と順繰り調整することで、健康を維持するということであり、
肝臓の数値が悪くなったから取り組む
というものではありません。
と申し上げると、
「では、食材にはパワーがないんですか!?」
と言われるのですが、そうではなく、
「薬ほどパワフルではないです!」
という意味です。
事実、私も診療で食事を変えただけで状態が改善したケースを沢山みてきました。
ただ、それが
●食材のパワーなのか?
●今までの食生活が不適切すぎて、正常になっただけ
なのかは…
それはそれとして、「春はあけぼの」は枕草子ですが、薬膳的には春はデトックスのシーズンです!
春はあけぼの・デトックス!
冬の間は寒い季節で、栄養の蓄積モード状態でした。
しかし、暖かくなると、
●気温が上がる
●活動的になる
●体温が上がる
●血液・リンパ液の流れが良くなる
●代謝が上がる
●老廃物の排泄量が多くなる
といった流れで、血液・リンパ液で回収される老廃物が増える事があります。
この様な場合、
【冬→春の季節の変わり目は調子が悪い】
【春は調子が悪い】
という印象になりがちです。
特に、人でいうところの冷え症状態の愛犬・愛猫は、暖かくなると代謝が良くなり、その結果、
春ぐらいの気温になると、異物処理のために体調が悪くなる
梅雨ぐらいの気温になると、体調が悪くなる
夏ぐらいの気温になると、体調が悪くなる
ということになりがちです。
では、春はどんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
春は運動と水分!
血液・リンパ液中の老廃物を運んで処理してくれるのは肝臓です。
どんな処理をしてくれるかというと、水に溶けやすい加工をしてくれます。
そうすることで、オシッコとして排泄しやすくなるんですね。
だとしたら、ジャンジャン排泄できるように、水分を多く摂取したいところです。
ところで、デトックスハーブってありますよね?
アレはどうなんでしょうか?
必要なのでしょうか?
デトックスハーブ?
肝臓には素晴らしい処理能力があり、ハーブの力を借りなくても、時々刻々、粛々と適切に処理してくれています。
ですから、
【ハーブのサポートがないと処理できない】
などということは絶対にありません。
ただ、助けはないよりはあった方がいいので、「あってもいい」ぐらいです。
私は原因療法を通じて、一頭一頭、身体の状態を調べてきたので、肝硬変の末期にでもならない限り、肝臓はきちんと機能していると感じています。
生物って本当に凄いな…
と実感するところです。
ハーブの使用を否定するつもりはありませんが、
【ハーブのお陰でようやくデトックスが出来る】
というケースは、診療経験上お目にかかったことがありません。
ですから、
【ハーブがないと健康を維持できない】
は違うと思いますが
【薬に頼りたくないので、ハーブを生活に取り入れる】
というスタンスは賛成です。
春の臓腑とは?
そんなわけで、春は老廃物処理で
●肝臓
●胆嚢
●胆管
あたりに負荷がかかりがちです。
中医学でいう臓腑では
肝胆
とよばれるエリアですね。
しかし、だからといって人間があれこれ考えて調整しないと、健康を維持できないのか?というとそうではなく、
【身体に備わった素晴らしい調整能力】
で、時々刻々、適切に処理・修復・調整されています。
ただ、私達人間も
「元気でよく働くから、一ヶ月眠らずに働けますね?」
と言われたら、そうではないのは肝臓も同じです。
特に、肝臓は「沈黙の臓器」とよばれるように、不具合があっても自覚症状がほとんどなく、末期の肝硬変など、かなり病気が進んでからはじめて症状が出てくる臓器です。
また、肝臓は再生能力が高く、少しぐらいの障害が出ても自力で元に戻せる臓器なので、普段はほとんどケアの必要性を感じません。
しかし、よく働く元気な人がムリをし続けていたらある日突然…
というのと同じで、肝臓もケアすることが大切です。
肝臓のケアに最も良いのは、断食して休ませることです。
週に一度くらい断食するのは健康のために効果的です。
ただし、【太った猫(全ての猫ではない)】は通常の半分量までにしておかないと、黄色脂肪症(イエローファット)になるリスクがあるので、要注意です!
では、春は肝臓や胆嚢だけケアしていたら良いのでしょうか?
春の臓腑だけを調整したら良いのか?
当たり前のことですが、人間も、右手だけで生きていくことは出来ません。
他の臓器・器官・組織が必要です。
それと同じで、肝臓・胆嚢も、肝臓・胆嚢単独で機能しているわけではなく、様々な臓器・器官・組織と連携して存在しています。
ですから、全てのことを意識しておくことが大切ですし、肝臓や胆嚢に不調があったとき、必ずしも肝臓や胆嚢だけに不調があるとは限らないのです。
薬膳を勉強しても不調が続く方が勘違いしていること
愛犬や愛猫のために薬膳や栄養学を勉強したのに、望む結果が出せずに悩んでいる方は少なくありません。
この方々は、ひょっとしたら、
●食材に過度の期待をしている
●他の原因を見落としている
●正常に働いている肝にムリをさせようとしている
のかもしれません。
良かれと思ってやっている事が結果を出していないとき、
【同じことを更に一生懸命やる】
のは、決して賢明なことではないかもしれません。
そんなときは、視点を変えることがとても大事です。
ぜひ、かかりつけの先生と相談して、肝臓や胆嚢が不調な本質的な原因を探って取り除いてもらって下さい。
もし、薬をのまずに肝臓の数値が下がるなど、春のケアを学びたい方は、こちらの教材がお役に立てるかもしれません。
「知らなかった…」で取り返しのつかない事にならない様、転ばぬ先の杖として学んでおかれることをおすすめします。