
私はペットロスになれません。
どう準備していたらいいですか?

当院にはよくこんなご質問をいただきます。
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私の愛犬は現在闘病中で
そう遠くない将来に
虹の橋を渡る可能性が高いです。
そのことを考えるととても悲しいです。
でも、就学前の子供達もいるし、
他にも二頭いますから
ペットロスになって悲しみに浸る余裕がありません。
でも、そんなに強い心の持ち主でもありません。
こんなとき、どうしたらいいのでしょうか?
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特に、他院で余命宣告をされ
なす術無しの状態で
当院にお越しになった飼い主さんからは
こんな質問をよくされます。
そもそも、愛犬・愛猫が亡くなったら、
悲しいのは当たり前です。
悲しいのは当たり前
その悲しみが原因で
何も手に付かなくなるのも不思議ではありません。
ときどき
「ペットが死んだぐらいで…」
と職場で言われた、なんて話を見聞きしますが
その人だって
趣味で集めたグッズを壊されたら
数日立ち直れない…
なんてものがあるかもしれません。
いずれにしても、
思い入れの強いものを失って
すぐに立ち直ったり
開き直れる人ばかりではないのです。
ですから…
過去と他人は変えられない
本当は、周りの方にも
ご配慮いただきたいところですが
過去と他人は変えられないと言われるように
必ずしも期待通りになるとは限りません。
となると、
変えられるのは自分と今ですから、
自分の状態をコントロールできるように
準備しておくことは必要になるでしょう。
また、
組織で重要な役割を担っている方は
ご自身が
「ペットロス状態になって何も出来ない…」
という状態になることが
周りに多大な迷惑を掛けてしまうので
怖くてペットロス状態になれない…
と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
だとしたら…
転ばぬ先の杖を用意する
立場上やはり準備をしておく必要のある方も
いらっしゃると思います。
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誤解して欲しくないのですが
ペットロス状態になることを否定しているのではなく
心が弱いと見下しているわけでもなく、
世の中には【なりたくてもなれない方】もいる
という話です。
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そもそも、避けられない現実が…
生物の死亡率は100%である!
そもそも、避けられない現実は
「生物の死亡率は100%」
だということです。
私もあなたも、そしてあなたの愛犬・愛猫も
必ず死にます。
考えたくない!
と思われるかもしれませんが、
避けては通れませんし、
これ以上確実なこともありません。
私達が明日も生きている確率より
いつか必ず死ぬことの方が
確率は高いのです!
避けられないということは
見ないようにするより
しっかり向きあって
適切に対処することが
健全な態度といえるでしょう。
ところで、ペットロスに限らず、
【不安】
が生じる原因はなんだと思いますか?
不安の原因とは?
【不安】が生じる原因…
それは
【知らないことに人は不安を感じる】
という原理原則があるからです。
全ての生き物に必ず訪れる【死】は
本来、
タブー視するものでもなく、
見ないようにするものでもなく、
考えないようにするものでもなく、
日常生活で普通に経験することです。
例えば、親戚の多い家族では
葬儀は珍しいことではなく
【何ごとも順番】
とおじいちゃん・おばあちゃんから
教わっていたりするものです。
このように、日常生活で
実際に経験したり、疑似体験することで
【死に対する免疫】
が付いて、
実際に身の回りに死が訪れても
【悲しいけれど乗り越えられる】
ことになります。
そういう意味では、
須崎家とその親族では
健全な学びが出来ていたんだなと思います。
立場上、ペットロスになれない方もいる
もちろん、
悲しみで何も出来なくなることが
悪いことではないです。
ただ、立場上【浸れない方】も
世の中にはいらっしゃいます。
私も自分が死んだのなら
諦めていただくしかないのですが
二ヶ月お待ちいただいて
やっと診療予約の順番が回ってきた方に
「ごめんなさい
今朝カメが死んだので診療できません。
また二ヶ月待ってください。」
と伝える勇気はありません。
ですから、ペットロスに限らず
何か想定できる不安材料は
なんでもない普段から準備しています。
では、どんな準備をしたらいいのでしょうか?
解釈を変える
生物が死ぬ
という原理原則を変えることは出来ませんが
その出来事に対する意味づけ(解釈)を
変えることは出来ます。
人が結果を手に入れるまでのステップは
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刺激→解釈→思考→決断→行動→結果
===
という流れになるので、
一番最初の解釈が変われば
その後を変えることが出来ます!
では、
具体的に解釈を
どう変えたらいいのでしょうか?
症状が悪化したらどうしよう…
よく、
「症状が悪化したらどうしよう…」
と心配している方がいらっしゃいますが
それは
===
症状を完璧にコントロールすることは難しいが
私は最善を尽くす
===
という言葉に換えることで
心の状態を変えることが出来ます。
現実に即して
コントロール出来ることとできないことを把握し
コントロール出来ることだけを
コントロールすると意識するだけで
随分違います(やった人だけがわかる)
もちろん、この言葉が
無意識かつとっさに出てくるまで
繰り返す必要はありますが…。
同様に
「この子が死んだら私はどうなるんだろう?」
という不安も
===
一時悲しいが、今までどおりに時は過ぎていくし
私はこの子の分まで強く生きていく!
===
などの心構えに変わることで、
打ちひしがれて日常生活もままならない
という状態にならない準備ができます。
もちろん、
ベストな解釈は個々で異なりますし、
まだまだいろいろな不安があると思いますが
その一つ一つを適切に潰していけば
必ず終点がやってきます。
仁王立ちで豪快に笑っているのがゴールではない
あまり考えたくないことではありますが
【生物には必ず死が訪れる】
という現実からは逃れられないので
避けられない事には
対策を打っておくことが賢明です。
そのためには
●日常生活で慣れること
●いざというときに健全な解釈が出来るように準備しておくこと
がペットロス対策には重要です。
ぜひ、ご自身の不安を見つめて
「私はなにが不安なのかな?」
と自問自答してみて、
その出てきた感情を
どんな言葉に置き換えたらいいのか?
を考えてみてください。
ご縁あった先輩達もそうして乗り越えてきました。
必ず克服できることですので、
「私は立場上ペットロス状態になれない」
「私はキャラクター上、ペットロス状態にはなりたくない」
という方は、ぜひ、事前準備をしておいてくださいね。
追伸:もし、自分で考えるのはいろいろな意味で難しい…
という方のために、
ペットアカデミーでは次の様な教材もご用意しております。