
症状あるところに
必ずしも根本原因無し
これは、診療を通じて、
ペットから教わったことです。
よく、「アカラス(ニキビダニ)症」と診断された子がやってきますが、
根本原因は
「アカラスが皮膚にいること」
ではなく(←これ大事!)
「どこにでもいるアカラス『ごとき』に強く影響を受ける皮膚バリア機能の貧弱さが問題」
で、
「皮膚バリア機能を低下させる原因がどこかにあり(個別で異なる)、それを改善しない限り、枝葉の部分だけをいじってもどうにもならず、長引く」
と感じております。
つまり、長引くということは、
根本原因にはたどり着いていない
根本解決にもなっていない
ということです。
それが、
●身体の問題
なのか、
●環境の問題
なのかは、
個々のケースで異なりますが、
すくなくとも、
同じ様に見える症状、
同じ様に見える形態変化
同じ様に見える生体反応
でも、
その裏は単純ではなく、複雑に絡み合っているかもしれない
という視点を持つことも大事だと思うのです。
しかし、通常の「治療」は
●皮膚を清潔に保つ
●薬用シャンプー
などが主体となり、
しかも
「なかなか治りにくい」と…。
(※通常の治療に文句を申し上げているのではありません。万能な方法等無いので、望む結果が得られないならば、違うことをやればいいだけの話です。しかし、その自由度を忘れているとしたら、思いだそう!ということでございます。)
一ヶ月ほど前、皮膚状態が快適ではない犬がやってきました。
アカラスと診断されたのだとか…。
身体を探って、
原因部位を特定し、
●原因除去
●身体の調整
をしたところ…
前回診察して頂いてから、指示通り生活環境の調整、運動等を行ったところ、アカラスのかさぶたや体液のしみだし、出血はなくなりました。
目やに、鼻水もずいぶん少なくなってきて、はげていたところからも毛が生えてきてました。
散歩もだんだんしっかりとした足取りで歩けるようになり、家の中でも元気に動き回るようになりました。
足を触っても4本とも痛がる様子はありません。
とのこと…。
まだ課題は他にあるのですが、まずまずの出だしです。
アカラス症というと、多くの方が
「皮膚疾患なのだから皮膚のケアが大事に決まってる!」
と思いがちですが、柔軟に読み解く必要性があると思うのは、私だけでしょうか?
少なくとも、
「アカラス症は治りにくいんです!」
などと言って、
「改善しないのは仕方ない」
という前提からのスタートは思考停止につながるため、いかがなものかなと思うわけです。
(小僧の戯言ですが…)
これからも、ひとつひとつ、丁寧に診察させていただきたい
と気持ちを引き締めたいと思います。
そして、がんばっている飼い主さん!
今日もがんばってください!